生命現象は,さまざまな機能があります.
運動,情報伝達,免疫,代謝...などなど...
我々の研究室は動くタンパク,モータータンパクをメインに扱っています.
その理由は....
動くものが好きだから...
というのが正直な答えです..
やっぱり,動く物はおもしろいですからねえ.....
とは言っても,一応はもっともらしい理由を..
すべての事象にはエネルギーという物が必要です. (要チェック)
たとえば,ほっておいたら勝手に建物が建つことはありません.
いろんな人がエネルギーを注ぎ込んで初めて建物が完成するのです.
何もエネルギーを注がないと.....いずれ風化して,ぼろぼろになり...最後には均一な物になってしまいます.
生命現象も同じです.
我々の活動は,すべてエネルギーが必要です.
運動も,情報伝達も....
そのエネルギー源は,
ATPの加水分解
によって得られた自由エネルギーです.
つまり,生命現象は,この,化学エネルギー,を直接変換している機械,ということになります.
これが人工機械との大きな違いです.
人工機械のほとんどが,
化学エネルギー → 熱エネルギー → 力学エネルギー
に変換しています,熱エネルギー,という中間状態を経由して.
これは,高度な機械,原子力発電でも同じです.
核分裂による熱発生 → 蒸気を発生 → 蒸気の力でタービンを回す
といった具合に.
エンジン:ガソリンのエネルギー → 爆発による体積変化 → 回転運動
火力発電:石油の燃焼 → 蒸気の発生 → 蒸気の力でタービンを回す
などなど.
これらの理論は,熱力学として大いに発達しました.
しかし,生体分子はどうも熱エネルギーという中間状態を経由せず,直接変換しているようです.
そのおかげで,効率がいいか,はまだ未解決の問題です.
さて,話が脱線しかけましたが,重要なことは,
生体分子のエネルギー変換メカニズムがまだわかっていない
というところにあるのです.
つまり,
におけるブラックボックスが生体分子であり,まだよくわかっていないのです..
では,この問題を解決するには,
入力と出力をきちんと計測すれば,間のブラックボックスを理解する
ことが重要です.
ここで,問題となるのが,
いかに,入力と出力をきちんと計測できるか?
ということ.
特に,出力に関してはその結果としての生成物,の量,性質から考えることができますが,もっとダイレクトに明らかにするためには,
力学エネルギー
としてみるのが一番簡単です.
力[N],変位[m]
として.
なぜなら我々にはそれらの状態量を(チェック!),計測できる手段がありますから.
これが,
情報
などというとどうやって情報を計測するのか,というさらに難しい問題点が浮上してしまいます.
生体分子はそのほとんどがアミノ酸からできています.
つまり,
どんな生体分子もその基本となる動作原理は共通
と思われます(証明はできませんが).
運動タンパクだけ特別なメカニズムがあるとはとうてい思えませんし.
つまり,
運動タンパクの動作原理の解明は,生体分子共通の動作原理の解明につながる
ということなのです!!!
ちょっとかっこつけすぎですが....